持ち込まれたクルマを断らず、信頼に応える志
お客様と現場のメカニックをつなぐサービスフロントと、現場の動きをコントロールするピットリーダー。
整備士としてそれぞれに技術や知識を磨き抜き、会社になくてはならない存在となった二人のメカニックが、
それぞれが抱くプロ意識ややりがいを語り合います。
城南店 大沼 明徳
茨城県筑西市出身/2004年入社
昔からオートバイやクルマが好きで、学生時代から自分でクルマのカスタマイズやドレスアップを手がけていた。入社後は7年間、整備士として現場での経験を重ね、その後はサービスフロントへと転身。接客を通して、現場の整備士とお客様をつなぐポジションへ。
簗瀬店 安生 竜司
栃木県宇都宮市出身/2010年入社
高校生の頃からバイク店でアルバイトを始め、バイクのカスタマイズなどを通して、工具の使い方を身につける。地元にいろいろな販売会社がある中で、“Honda Cars 栃木東は整備技術が高い”と聞いたことがきっかけで入社。現在は現場をコントロールする立場で活躍中。
View 01入社後最大のギャップは接客の多さ
大 沼
クルマだけ整備する感覚で入社したら、整備7割で接客3割。ここまで接客が多いとは思わなかったね。今はサービスフロントだから、接客のほうが多いけど。
安 生
自分もです。受付に問診、引き渡しまで、メカニックが直接お客様に話を聞きに行って、そのまま作業もする。メリットも大きいと思いますけどね。
大 沼
お客様の困りごとを、メカニックが一緒に解決するから、喜びもお客様と一緒に体感できる。そこは醍醐味だね。あと、技術面でギャップはあった?
安 生
音ですかね。異音ってどんな音か、こんなときしか音が出ないとか、どんな時になりやすいとか。学校で習うことは基本なので、現場では新しい壁にぶつかると思いますけど、自分から率先してやらせてくださいって言ってくる新人は、やっぱりやる気あるなって思いますね。自分たちが工程を組むときも、ちょっと難しい仕事入れてみたり。
大 沼
できないのは当たり前なんだけど、それでもがむしゃらにやろうっていう、気持ち的に熱い子がほしいよね。
安 生
ほしいですね。後輩に接するときに意識してるのは、厳しくする人がいれば優しくする人が必要だし、優しい人ばかりなら自分は厳しくすること。怒鳴っても育たないし、優しいだけでもダメなんで。あとは自分だけじゃなく、いろいろな人の姿を見せて、いいところ取りしてもらえば、いずれは自分を超える存在になってくれると思います。
大 沼
何か月か新人と付き合うと、「ここが足りなくてここは十分だな」って見えてくるから、足りなければアドバイスしたり、仕事の中で反復練習させたりして、メカニックとして偏りがないようにしてるね。
安 生
あと、現場に出てすぐの新人は、自分が何もできなくてどうしようって思うけど、学校と現場の違いはみんなひしひしと分かってる。何もできなくて当たり前と思って教えてるから、心配しなくていいと思いますね。あとは、本人がなりたい姿に合わせて補正しながら、そこに近づけるように道を作るから。
大 沼
そうだね。整備士はひとつのチームだから、誰かが困っていれば、必ず手助けするし。そうすれば、最終的にお客様が困らない。
安 生
チームワークは大切ですよね。1時間で終わるはずの予定が終わらないときも、空いたタイミングの人が手助けしてくれるだけで全然予定が回るし。整備は一人だとできないですよ。
View 02他社がギブアップしたクルマこそ、絶対に直したい
大 沼
クルマの不具合や困りごとを抱えるお客様が10人いたら、10人とも解決策は違うもの。そこで一人ひとりに合った答えや安心感をご提案して、お客様に「そうしてもらえたらうれしい」っていう言葉を最短でもらう。それがサービスフロントとしてこだわってることかな。
安 生
現場視点のこだわりは二つです。一つは限られた時間の中でどれだけ量をこなすか。難しい作業や時間がかかる作業でも、人によって全然作業時間が違うので、最短スピードで、質を落とさず、ミスも絶対に出さないように回すこと。あとは、お客様に「他の修理工場やディーラーに持って行ったんだけど分からなかった」って言われた瞬間に、“絶対俺が直してやる!”って思うんですよ(笑)。それが二つ目。
大 沼
ああー、プロだね。
安 生
そこで直せば、他のお店に行かないですし、なんでも直してくれるって思ってもらえる。その方が次に自分宛に来てくれれば、車検も入ってもらえますし、離れていかないなって。
大 沼
自分のファンを作るっていう。ただ、自分たちがいなくても、変わらずご来店いただけるように、だんだんお店のファンにしていくのが究極の課題だね。
安 生
自分は、本当に仲良くなったお客様には、新人やほかのスタッフを紹介していますね。あとは、自分の頭で把握しているお客様のクルマの状態を共有したり。まず自分がお客様と仲良くなり、その先は自分一人じゃなく、お店全体で取り組めたらって。
View 03目標達成で、メカニックも海外旅行に行ける会社
安 生
自分はストリートダンスとDJをやってて、月1回くらいクラブで回すんですよ。イベントはだいたい金曜か土曜の夜なので、いつもは飲まずに帰るんです。サービス業だから土日休むと、仕事が回りにくくなるので。でも、大きいイベントとか、付き合いで飲まなきゃいけない時はちゃんと休みをもらえてます。それでこの7年間ずっとやってきたから、プライベートは充実してますね。
大 沼
そうだね。休みは趣味のオートバイに乗ったり、飼ってる犬と遊んだり、家族と一緒に過ごしたりしてる。仕事の時は時間厳守だけど、ダラダラやらない分、休みはしっかり休めると思うよ。
安 生
会社全体で残業を減らしてるから、前より楽だし、帰るのも早くなりましたね。個人的には、自分で休みを選べるのが良くて。休みが固定じゃないから、来月の何日休みたいと思っておけば、そこにあてられる。あと、社内キャンペーンで年間目標を達成したときに、ただでグアム旅行に行けたんですよ。すごく楽しい思いをさせていただいて(笑)。
大 沼
社内の技能コンテストでも特典があるらしいよ。トップに入ればけっこういいんじゃないかな。そういう場に集まって、みんなで競技してると、他の拠点の整備士を見る場にもなるよね。視野を広げるというか。
安 生
ただ単にメカニックとしてだけの成長じゃないってことですよね。接客が多い分、いろんなお客様のお話を聞くので、人としても成長できたり。技術だけの“チェンジニア”じゃなくて、整備士なんだよっていう。
大 沼
自分も学生の頃はなにも長続きしないような人間だったのに、ここで働いていて、嬉しいことがちょこちょこ続くと、辞めたいと思ったことも薄れていって。何不自由しないようなお給料をいただいて、いい仲間に出会って、一緒に成長していける。
安 生
たしかに普通の整備士に比べたら給料はいいと思います。楽な仕事じゃないけど、その分やりがいは感じられるし、仕事は一人でやるものじゃないっていう、チームの大切さを教わりました。
View 04壁を乗り越えた先に、自信と成長がある
安 生
新しいことばかりで毎日が壁ですけど、やってこられたのは仲間のおかげですね。本当に辛いときは、飲みながら先輩に相談したり、同期にグチを聞いてもらって、アドバイスを次につなげる。あとは後輩から学ぶことも多くて。7年も同じ会社や組織にいると、どうしてもその色に染まるけど、新人からはけっこうクリアな意見が聞けるんですよ。後輩の相談に、自分はどう答えるべきなんだろうって、イチから仕事を考え直すこともあったり。
大 沼
自分が壁にぶつかったときは、とにかく逃げなかったね。現場で整備をしていた頃は、周りに「まだこんな仕事やったことない」と言われるような仕事をするのが誇りで、自分が最初にやれることがうれしかった。そうやって乗り越えた困難が、今の知識や技術の引き出しになってる。Hondaの技術もおもしろいし。最近はクルマも電子制御で、メーカーの技術も世界に合わせて進歩しているから、やっぱり勉強に尽きるよね。
安 生
他メーカーのメカニックさんからは、「Hondaのエンジンルームは狭すぎる。こんなのムリだよ」っていう話をよく聞くんですよ。でも、うちはそれが普通じゃないですか。だから、他メーカーに慣れちゃうと、多分Honda車のエンジンルームは狭すぎて整備できない。うちはベンツの車検もやりますし、他メーカーのエンジン交換もしますけど。
大 沼
メインはHonda車だけど、すべての困っているお客様、クルマを受け入れている。どうにかしてやろう、っていう志があるから。
安 生
中古車では他メーカーも販売するので、その納車整備もやりますし、依頼されたものは断らない会社のスタンスがあります。直してお客様に喜んでいただけるのが一番うれしいですしね。
大 沼
そう。現場もフロントも同じだと思うのは、お客様を喜ばせたりとか感謝されるっていうところ。お客様の問題や不満を解決して、感謝されたり頼りにされるというゴールに向かっていく。お客様、現場、自分が三つ巴になって、最終的にお客様が喜んでくれる。そこにやりがいはあるよね。
安 生
先輩に褒められるより、後輩に感謝されるより、お客様から直接「ありがとう」って言葉をもらうほうが直にきますよね。あとは、それを目的に仕事してるわけじゃないですけど、お客様から差し入れをいただいたり。この間、「家帰ってから飲みなよ!」って、大量にビールをいただいて。一応周りに報告して持って帰りました(笑)。
大 沼
お客様との信頼関係がしっかり築けてるから、そういうのもやりがいだよね。
安 生
感謝してもらえなければ、いただけないですから。ただ、最近は後輩を育てる方に優先順位を置いてるんです。診断系や重整備は後輩に振って、自分は車検をやってるんですよ。車検は預かって作業できる分、後輩の相談も受けやすい。自分を目指してくれる後輩が増えてくれれば、それがうれしい気持ちになるのかなって。後輩からも上司からも信頼されるようになって、あいつに任せれば大丈夫だと思われる存在になりたいですね。
大 沼
そうだね。この業界は信頼されてなんぼの部分があるから、お客様の信頼を得ることは、会社からの信頼にもなってくる。それが自分の自信につながり、成長につながっていくと思うよ。